障害者の採用面接で聞いてはいけない質問は何ですか?企業が守るべき配慮とNG事項を解説

障害者雇用に取り組む企業が増える中で、「採用面接でどこまで聞いていいのか」「逆に聞いてはいけないことは何か」という疑問を持つ採用担当者は少なくありません。障害者雇用促進法などの法令遵守はもちろん、応募者の人権を尊重した面接が求められる時代となっています。

本記事では、障害者の採用面接における「聞いてはいけない質問」について、法律的な根拠や実務上の注意点を交えて詳しく解説します。

〇採用面接で聞いてはいけない質問とは?
結論から言えば、障害者の採用面接において「障害の種類や程度」「病歴や診断名」「家族構成や生活状況」など、職務に直接関係のないプライバシーに踏み込む質問は原則としてNGです。

特に、以下のような質問は避けるべきとされています。

「どういう障害ですか?」「診断名は?」 
「ご家族の支援は受けていますか?」
「日常生活に支障はありますか?」
「結婚の予定はありますか?」
「将来的に悪化する可能性はありますか?」

これらの質問は、障害者のプライバシーを侵害するだけでなく、採用の公平性にも疑念を生じさせる恐れがあります。

〇なぜ聞いてはいけないのか?法的根拠と考え方
障害者の採用においては、「障害者雇用促進法」や「雇用対策法」「個人情報保護法」に基づき、適正かつ公正な選考を行う義務があります。

厚生労働省が示す「公正な採用選考の基本」では、採用面接では「応募者の適性・能力に基づいて選考すること」が原則とされており、職務遂行能力に直接関係しない情報を聞くことは認められていません。

特に障害者の場合、配慮が必要な事項については「合理的配慮」として本人が申し出る形式が原則であり、企業側から障害の詳細を過度に尋ねることは、差別的取扱いや不当な選別とみなされるリスクがあります。

〇よくある誤解
「配慮のためには障害の内容を詳しく聞かなければならない」と誤解するケースがありますが、それは間違いです。合理的配慮は、あくまで本人の申出に基づいて検討・実施するものです。

また、「健常者にも同じように質問しているので問題ない」と考えるのも誤解です。障害者への質問が結果として選考に不利益を与える場合、公平性が問われることになります。

〇実務での注意点
採用担当者は、面接前に以下のポイントを押さえておく必要があります。

面接は「業務遂行に必要な能力や経験」に関する質問に限定する
必要に応じて「職場で配慮が必要なことがあれば教えてください」と尋ね、本人に委ねる
医療情報や家庭状況などの個人情報を業務に関係なく聞かない
面接官向けに「障害者面接対応マニュアル」を用意し、定期的な研修を行う
特に中小企業では、障害者面接に不慣れな場合も多いため、事前の準備と社内共有が重要です。

〇専門家が支援できること
社会保険労務士や産業カウンセラー、就労支援機関などは、障害者雇用の実務に詳しく、面接の設計や合理的配慮の内容について具体的なアドバイスが可能です。

また、ハローワークや障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)と連携することで、職場定着の支援や助成金活用の案内も受けられます。

〇まとめ
障害者の採用面接では、応募者の人権とプライバシーを尊重した対応が不可欠です。質問は業務に関連する範囲にとどめ、合理的配慮は本人の申出を尊重する形で対応しましょう。

もし不安がある場合は、専門家に相談しながら、法令に準拠した採用プロセスを構築することが、企業としての信頼性と応募者との信頼関係につながります。