雇用契約時に注意すべき法律上のポイントは?トラブルを防ぐための重要チェック事項を解説
雇用契約を結ぶ際、「とりあえず働き始めてから考えればいい」と思っていませんか。特に中小企業やスタートアップでは、口約束や簡易な書面だけで雇用を開始してしまうケースも少なくありません。しかし、雇用契約は労働者と使用者双方の権利義務を定める重要な法律行為であり、内容に不備があると後々のトラブルにつながります。採用活動を行う経営者や人事担当者、これから入社する労働者にとっても、基本的な法律知識を押さえておくことが不可欠です。
〇結論 労働条件の明示と法令遵守が最重要ポイント
雇用契約時に最も重要なのは、労働条件を明確にし、労働基準法などの関連法令に適合していることです。特に「労働条件の明示」は法律上の義務であり、書面等で通知しなければならない事項が定められています。賃金、労働時間、休日、契約期間などの基本事項が不明確なままでは、法的リスクが高まります。
〇解説 法律で定められた明示事項と契約内容のポイント
労働基準法では、使用者は労働契約の締結に際して、賃金、労働時間、就業場所、業務内容、契約期間など一定の事項を明示する義務があります。特に賃金の決定方法や支払日、残業の有無、更新の有無(有期契約の場合)は重要です。
また、労働時間については法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超える場合、36協定の締結・届出が必要です。試用期間を設ける場合も、その期間や本採用拒否の基準が曖昧だと「解雇」と同様に扱われ、無効と判断される可能性があります。
さらに、社会保険や労働保険の加入要件を満たす場合には、適切な手続きが必要です。形式上は「業務委託」としていても、実態が雇用であれば労働法が適用されるため、契約名称だけで判断するのは危険です。
〇よくある誤解 口約束でも有効?有期契約なら自由に終了できる?
「口頭でも契約は成立するから問題ない」という考えは半分正しく、半分誤りです。確かに口頭でも契約は成立しますが、後から内容を証明できず、紛争時に不利になります。書面化はトラブル予防の基本です。
また、「有期契約だから期間満了で必ず終了できる」と誤解されがちですが、契約更新を繰り返している場合などは、雇止めに合理的理由が求められることがあります。安易な雇止めは無効と判断されるリスクがあります。
〇実務での注意点 就業規則との整合性と説明責任
実務上は、雇用契約書と就業規則の内容が食い違っているケースが少なくありません。例えば、契約書では「土日休み」と記載しながら、就業規則ではシフト制となっている場合、どちらが優先されるかが争点になります。原則として労働者に有利な条件が優先される傾向があります。
また、固定残業代制度を導入する場合は、通常の賃金部分と残業代部分を明確に区分し、何時間分の残業代なのかを明示する必要があります。不明確な場合、固定残業代が無効となり、追加で残業代を請求されることもあります。
〇士業としての支援内容 契約書整備とリスク予防
行政書士や社会保険労務士などの専門家は、法令に適合した雇用契約書や労働条件通知書の作成支援を行います。また、就業規則の整備、36協定の作成・届出、社会保険手続きのサポートも可能です。
トラブルが発生してから対応するよりも、契約締結段階で適切な書面を整備する方が、時間的・金銭的コストを大幅に抑えられます。特に初めて従業員を雇用する事業者は、専門家のチェックを受けることが重要です。
〇まとめ
雇用契約時に注意すべき法律上のポイントは、労働条件の明確化と法令遵守に尽きます。口約束に頼らず、書面で具体的に定めることがトラブル防止の第一歩です。有期契約や試用期間、固定残業代制度などは特に誤解が多いため、慎重な設計が求められます。
自社の契約書が法令に適合しているか不安な場合は、早めに専門家へ相談することで将来的なリスクを回避できます。適切な雇用契約は、企業と従業員双方にとって安心できる労働環境づくりの基盤となります。

