勤務時間や業務内容は個別に調整できますか?柔軟な働き方は可能?
「家庭の事情に合わせて働きたい」「副業と両立したい」「体調に配慮した働き方はできるのか」など、勤務時間や業務内容の調整についてのご相談は年々増えています。特に共働き世帯の増加や副業解禁の流れ、働き方改革の推進などを背景に、企業側も柔軟な対応を求められる場面が増えているためです。
〇結論 契約内容と会社の制度次第で調整は可能
勤務時間や業務内容の個別調整は、原則として「雇用契約の内容」と「会社の就業規則」によって決まります。法律上、すべての希望が当然に認められるわけではありませんが、労使間の合意があれば変更することは可能です。
例えば、正社員であっても短時間勤務制度を利用できる場合や、パートタイム契約へ変更するケースもあります。また、職種や担当業務の変更についても、会社の業務運営に支障がなければ個別に協議のうえ調整されることがあります。
〇解説 労働契約と法制度の基本
労働条件は、労働基準法および労働契約法に基づき、労働契約によって定められます。勤務時間、始業終業時刻、業務内容などは重要な労働条件であり、原則として双方の合意なしに一方的に変更することはできません。
一方で、育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度など、法律により一定の調整が義務づけられている場合もあります。たとえば、3歳未満の子を養育する労働者に対しては、原則として短時間勤務制度を設ける義務があります。
また、近年ではテレワークやフレックスタイム制を導入する企業も増えており、制度として柔軟な働き方を認める会社もあります。ただし、制度が存在していても、利用条件や対象者が限定されている場合があるため注意が必要です。
〇よくある誤解 希望すれば必ず認められるわけではない
「家庭の事情があれば必ず時短勤務できる」「正社員でも自由に業務を選べる」といった誤解も少なくありません。しかし、法律上認められるケースを除き、個別の調整はあくまで会社との合意が前提です。
特に業務内容の大幅な変更は、配置転換や職種変更に該当することがあり、企業側の人事権との関係で慎重な判断が求められます。逆に、会社が一方的に不利益な変更を行うことも許されません。不利益変更にあたる場合は無効となる可能性があります。
〇実務での注意点 書面確認と就業規則の確認が重要
勤務時間や業務内容を変更する場合は、必ず書面で合意内容を残すことが重要です。口頭合意のみでは後々のトラブルにつながる可能性があります。
また、就業規則や労働条件通知書を事前に確認し、制度の有無や申請手続きの流れを把握しておくことが大切です。例えば、短時間勤務制度の申請期限や必要書類を守らなければ、制度を利用できない場合もあります。
さらに、社会保険や賃金への影響も見逃せません。勤務時間が短くなることで、健康保険・厚生年金の適用条件を満たさなくなるケースもあります。労働条件の変更は、給与だけでなく、将来の年金額などにも影響を及ぼす可能性があります。
〇士業としての支援内容:専門家によるリスク回避
行政書士や社会保険労務士などの専門家は、労働契約書や就業規則の確認、制度設計の見直し、適法な手続きのアドバイスなどを行うことができます。
企業側であれば、柔軟な働き方を導入する際の就業規則改定や労使協定の整備をサポートします。労働者側であれば、契約変更が不利益変更にあたらないかの確認や、会社との交渉に向けた助言を受けることが可能です。
トラブルを未然に防ぐためにも、曖昧なまま進めるのではなく、専門家に相談しながら適切な手続きを行うことが重要です。
〇まとめ
勤務時間や業務内容の個別調整は、法律と契約内容を前提に、労使間の合意によって可能となります。ただし、すべての希望が自動的に認められるわけではなく、制度の有無や会社の状況によって対応は異なります。
変更を検討する際は、就業規則の確認、書面での合意、社会保険への影響の把握などを丁寧に行いましょう。不安がある場合は、早めに専門家へ相談することで、安心して働き方の見直しを進めることができます。

