障害者雇用状況報告書の提出義務と作成のポイントとは?企業が知っておくべき法的対応
企業にとっての社会的責任が重視される現代において、「障害者雇用状況報告書」は単なる書類ではなく、障害者雇用促進法に基づいた重要な義務です。この報告書は、一定規模以上の事業主に対し毎年の提出が義務付けられており、障害者雇用の実態を明らかにし、行政による雇用促進施策の基礎資料となります。本記事では、障害者雇用状況報告書の提出義務の詳細や、作成における実務上のポイント、そして行政書士など士業の支援がどのように役立つかを解説します。
〇障害者雇用状況報告書の概要と目的
障害者雇用状況報告書とは、障害者の雇用状況を厚生労働省に報告するための書類で、障害者雇用促進法第43条に基づいて定められています。常時雇用する労働者が43.5人以上の事業主は、毎年6月1日現在の雇用状況を翌月15日までにハローワークへ報告しなければなりません。これは、障害者の法定雇用率の遵守状況を把握し、雇用促進の施策立案に活用するためのものです。
〇誰が提出義務を負うのか
提出義務があるのは、常時雇用する労働者が43.5人以上のすべての事業主です。ここでの「常時雇用」とは、正社員だけでなく、一定条件を満たすパート・アルバイトも含まれます。企業全体での人数が基準となるため、支店単位ではなく法人単位での確認が必要です。なお、特例子会社制度を活用している企業は、親会社とあわせての報告が求められる場合があります。
〇報告書の作成手順と必要な情報
報告書には、企業の基本情報、障害者の雇用人数、職種、雇用形態、障害の種別など、詳細なデータを記載する必要があります。報告は「電子申請(e-Gov)」または「紙での提出」により行いますが、近年は電子申請の推奨が進んでいます。正確な数値を把握するためには、日頃から人事・労務データを整備しておくことが重要です。
〇行政書士が果たす役割
障害者雇用状況報告書の作成にあたり、行政書士は企業の法的義務を整理し、記載内容の正確性を確保する支援が可能です。特に、障害者の雇用率算定に関する誤解や、対象労働者のカウント方法などで不備が起こりやすく、行政書士の助言により適切な報告が実現します。また、過去に報告義務を怠った場合のリカバリー支援も受けられます。
〇法定雇用率との関係
報告書の内容は、障害者の法定雇用率(令和5年4月現在で2.3%)の達成状況を判断する材料となります。未達成の場合、厚労省からの指導や改善命令の対象となる可能性があるため、報告書の作成は企業のコンプライアンス体制に直結しています。特に、今後雇用率が引き上げられる可能性があるため、企業は中長期的な雇用戦略を含めて準備を進める必要があります。
〇まとめ
障害者雇用状況報告書は、単なる行政手続きではなく、企業の社会的責任と法令遵守の象徴です。報告義務を怠ることは、行政指導や社会的評価の低下につながるリスクがあります。報告内容の正確性を確保し、法定雇用率の達成を目指すには、士業の専門家に相談することが有効です。行政書士や社会保険労務士のサポートを受けながら、持続可能な障害者雇用体制の構築を図りましょう。

